【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「痛む?」
「す、少し……だけ」
そんな私の心情を知る由もない葉月くんは、私のおでこに手を伸ばしてそっと触れる。
「……も、もう、大丈夫だよっ」
おでこはヒリヒリしてるはずなのに、じわじわ耳の付け根まで熱くなって、どうしたらいいかわからなくて、目を逸らした。
「ごめんな」
そっとなでる大きな葉月くんの手がとても優しくて、なんだか安心する。
「なんで、葉月くんが謝るの……」
「痛い思いさせた。それに、噂がもっと広まってる」
「噂って、あの噂……?」
私が聞き返すと、葉月くんは微かに口もとを緩ませた。
「クラスの奴らが、“やっぱりあのふたり付き合ってんじゃねーか”って」
「えー!?」
「“身を呈してまで葉月を守るとか、羽澤ベタ惚れじゃん”って」
「っ、だ……だから、ベタ惚れじゃないってば」
「このままだと、クラスの奴らに俺のことが好きだって勘違いされたままになるよ?」