【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「……葉月くんの方が、ズルいよ!スリーポイントで驚かせるし……運動神経抜群のくせに、わざと出来ないふりしてるもん!」



そう訴えても、誤魔化すように笑って、否定も肯定もしない。



「あーあ……きょ、今日はツイてないな。バレーの試合は負けちゃうし、ボールは頭に当たるし、おでこは擦り傷出来ちゃうし……」



ドキドキしてるなんてなんだか悔しくて、精一杯文句を浴びせる。



「せ、責任とってよ葉月くん……っ」



私が決死の思いで抗議していると。



「琴莉ーー!」



パタパタと咲希ちゃんの声とともに足音が近づいてきた。


それに気づいた葉月くんが、メガネをかけて椅子から立ち上がる。



“裏”葉月くんの素顔が、隠れる。



「責任とるよ?」


「へ?」



ベットから離れる寸前、葉月くんがこっちを向いた。



「その傷が残ったら、責任とるから結婚して?」


「なっ……!?ちょ、はづ、きくん……っ、なに、言って……」


「俺でよければね?」



───ガラッ!!

< 56 / 321 >

この作品をシェア

pagetop