【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
教室に着いて授業の準備をしていると、のそのそと葉月くんが席に戻ってきた。
相変わらず、ボサボサヘアに分厚い大きなメガネ。
徹底してる辺りは関心するよ……演技だけど。
ホント、球技大会でのことが夢みたいだ。
あの東條先輩とは、知り合いなのかな……?
“湊音”って呼んでたし。
まさか、葉月くんの素顔の秘密に繋がってるなんてこと、ないよね……?
ぐるぐる答えの出ないことを考えていると、ジッと隣から視線を感じた。
「な、なに……?葉月くん」
教室ではまず話さないくせに。
絆創膏が貼ってある私のおでこを見ている……?
「えと、これならもう大丈夫だよ……?きっと明日には絆創膏とれると思うし」
「……」
……って、葉月くん、なにか言ってよね!
身体を前に戻して私が唇を尖らせたと同時に、葉月くんが私の腕を軽く引いた。
「じゃあ俺、責任とんなくていいってこと?」
「へっ!?」
それってもしかして……、
─── “その傷が残ったら、責任とるから結婚して?”
「残念」
「なっ……」
小声で話す葉月くんは上目遣いでもするように、メガネの奥の瞳を向けてくる。