【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「っ、ちょ、ちょっと葉月くん!」
コソコソと声を潜めて私宛のそれを覗いてくる。
葉月くんのシャンプーの香りが鼻をくすぐった。
葉月くんってば、近いよ……っ。
「行くの?放課後」
「……う、うん。だって、大事な話って書いてあるし」
「ふーん。隙だらけなんだから気をつけなよ。探偵さん」
「わ、わかってるよ!」
ついついムキになってそう叫んだ瞬間。
「ほーん。俺が今日出す問題をわかっているのか?ほうほう。それはすごいじゃないか羽澤」
それこそすごい鼻息が飛んできて吸引力も抜群だ。
……と言ってる場合ではなく、既に国語の授業が開幕しており、馬面が私の前に立っていた。
「ならば今すぐこの問題を解いてみろ!余裕綽々なんだろうな!?次はないと前に釘をさしただろう!」
先生、問題よりも顔面のアップの方がキツイです。
ガミガミ叱られる私の視界の隅では葉月くんが隠れて笑っていた。