【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
* * *
あんな言い方しなくてもいいのに……!
葉月くんのバカ!
下駄箱でローファーに履き替えた私は、校舎裏を目指してずんずん進む。
9月とはいえまだ暑さの残る放課後。
誰も近寄らないであろうこんな人気のないところに呼び出すなんて、一体誰なんだろう。
校庭から聞こえる運動部の声が遠くなっていく。
あまりにも静かだ。
ちょっと、不気味かも……。
肩を縮めて歩いていくと、前方に人の気配が。
い、いた……!?
芝生がカサカサ音をたてる校舎裏に、ひとりの人物が立っている。
も、もしかして、あの人は……。
徐々に近づいていく私に気づいた彼が声をあげた。
「おっ。羽澤ー!わりぃな、呼び出して」
私を呼び出した張本人がぱっと手を掲げる。