【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「湊音のテリトリーに入れるのは、わたしくらいでしょう?」
なんだって……!?
真横を通り過ぎたと同時、東條先輩の声がやけに大きく聞こえた。
葉月くんの、テリトリーに?
東條先輩が私へと目をスライドさせた、直後。
「ひゃっ……!?」
パシッと、葉月くんが私の手首を掴むから、ラス1で買ったチョココロネを落としそうになる。
ちょ……なに!?
「こいつに用があるから。ごめん、双葉」
「あの……っ、ちょっと葉月くん!?」
その場を離れる寸前で、ふぅん、と呟いた東條先輩の視線が刺さった気がした。
「いきなり……なに……!?」
手を引っ張られ、そのまま連れてこられたのは資料室。
葉月くんの隠れ家だ。
「聞きたいことがあったから」
「……聞きたいこと?」
その場に座った葉月くんの隣に、息を整えながら私も腰をおろした。