【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
教卓のそばで仁王立ちしている馬面にバレないように聞いてみたけど、反応がない。
……む、無視!?
さっきだって資料室で誤魔化されたのに!
唇を尖らせて横に目をやると、葉月くんがシャーペンを握って手を動かしている。
「え……なにこれ?木……?もしかして、木の役!?」
コクっと相槌を打つ葉月くんの木の役を想像したら、たまらず笑いそうになる。
しかも、台詞がない。
そんな私をチラっと見た葉月くんは、また手を動かして落書きする。
今度はなんだろ?
やたら大きい鼻の穴から噴射されている息、長い輪郭、手にはニンジンを持っている、だが人間である。
「ぷっ……!あはははっ!葉月くん、これ先生にそっくり!」
どっからどう見ても馬面そっくりだよ!
「……ほーう。俺は馬に似ていると?」
「それはそれはリアル干支キャラ大賞も総ナメ……って、へ?」
瞬間移動ってやつですか?と思いたくなるくらい、教卓から私の前まで移動してきた馬面が立っていた。
「お前らぁああああ!!」
「ヒィッ……」
当然、馬面にはもう許してもらえるはずもない。
「今日こそは許さんからな!俺はもう許さんぞ!お前らふたり、ペナルティだぁ!!」