【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
私のせいで葉月くんまでびしょ濡れだ。
……なのに、どうしてかな。
葉月くんが飛び込んできてくれたことが、嬉しいって思っちゃうんだ。
「ホントお前って目が離せない奴だな」
水に浸かったまま佇む葉月くんが、瞳を緩ませて私を見る。
「……じゃあ、離さないでほしいよ葉月くん!」
「……お前、なに言って」
「だって葉月くんにも私のこと知ってほしいから、えと……もっと見てくれたら嬉しい……です」
せっかく隣の席なんだもん。
改めて伝えるとなんだか少し恥ずかしいけど。
「なにこれ。不意打ちすぎにも程がある」
「っ、」
突然、力を抜いた葉月くんがポスッと私の肩に顔を埋める。
濡れた葉月くんの髪が肌をなぞってくすぐったい。
ドキドキと高鳴る鼓動が葉月くんに聞こえちゃうかもしれない。
「あの、葉月くん……?」
「悪いけど、しばらく顔あげらんない」
「えっ?な、なんで……」
「誰のせいだと思ってんだよ……」
私が答えられずにいると、葉月くんはやっぱり溜め息をついて、私の肩からそっと顔を上げた。