【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


───葉月くん……!?


誰も居なくなった静かな教室には、葉月くんが自分の席にポツンと座っていた。


まだ残ってたんだ……。


そっと教室に入ると、恐る恐る自分の席に戻ってカバンを手にする。


お昼休みに寝ていたからなのか、葉月くんのボサボサの髪は、朝よりもっとひどくなってる。


あ……日誌書いてるんだ。

葉月くん、今日は日直だったから。



私が隣の席に戻っても、葉月くんはこっちを振り向くこともなく、スラスラと手を動かしている。


……!?



「す、すごい……。葉月くん、よく覚えてるね!」



覗き込んだクラスの日誌には、今日一日の出来事や、みんなのことが細かく書かれていたから驚いた。



ピタッ、と葉月くんの手の動きが止まる。



「あ……ご、ごめんね。私、邪魔しちゃって……」



ううん、と微かに首を横に振るだけ。



「えと、また明日ね葉月くん!」



今度は、うんと頷くだけ。


葉月くんが喋ってくれるわけない、か……。


諦めて帰ろうとしたその時、疑問が浮かぶ。

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