【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「人のこと散々ズルいとか言ってるけど、ズルいのはお前の方だろ」
ふと顔をあげた葉月くんの濡れた頬が、微かに赤く染まっていて。
今度は私が驚きに包まれる。
「あの、それってどういう意味で……っ」
問いかけながら見上げた葉月くんの髪の先から水滴が降ってくる。
「いいよわかんなくて」
本当にわからず、葉月くんを見上げてパチパチと瞬きを繰り返していると、
「その秘密は解かないでね?」
葉月くんが顔を近づけて口角を上げる。
どういう意味かわからないけれど、素顔の葉月くんに胸がキュンと高鳴った。
葉月くんの秘密はまだ解けない。
……ただ、唯一わかってしまったことは。
葉月くんの秘密を解き明かそうとしてる私の方が、葉月くんに溺れてしまいそうになっているってこと。