偽りのキス

「ごめん、遅くなって」


綾ちゃんのところに着いたのは
8時すぎてた




「おかえり
なんか、食べてきたの?
いい匂いする」

綾ちゃんに言われた




「うん、ごめん
急に友達とファミレス行くことになって…
約束してたのに…ホント、ごめん」



「いいよ
私も無理に来てもらってごめんね
私が待ってなかったら
もっと友達といれたのに」



綾ちゃんが待ってなかったら


確かに
乙ともっといたかも…




「蒼ちゃん
食べ物の匂いもするけど
女の子の匂いもする…」

綾ちゃんがオレの近くに来て言った




「この前の子?」



「あー、うん…」



「前も駅で会ったよね?
同じ学校の…」



「うん…」



「蒼ちゃんも男の子だなー」



綾ちゃんがニヤニヤしてオレを見た





男の子だよ…

いつまでも子供じゃない





綾ちゃんだって…女じゃん…




オレは綾ちゃんがキスしてるところを
思い出した





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