偽りのキス
5限が終わるチャイムで
我に返った
目を開けたら
ハート型の雲は、なかった
オレは起き上がった
ごめん…乙…
罪悪感が胸に残った
乙の顔が見れなかった
後ろから乙の声がした
「…明日も来るの?」
「うん…だいたい晴れてる日は来る」
立ち上がって振り向くと
仰向けのまま
乙がいた
乙が少し恥ずかしそうな顔をした
胸がズキってなった
乙の手を引っ張って起こした
「あ、ありがと…」
いつもの乙の笑顔だった
「6限、オレ移動教室だから先行くわ!」
オレは乙を残して
教室に戻った
6限は国語だった
移動教室なんて嘘だった