偽りのキス

マンションの下でふたりの足が止まった



オレも少し手前で止まった




綾ちゃんが背伸びをして
彼にキスをした



ーーー



ビニール傘で透けて見えた




息ができなかった





彼も綾ちゃんにキスをした



ーーー


ーーー


ーーー




何度もキスして
名残惜しそうにお互い手を振った





オレは雨の中
立ち尽くした





彼がオレの横を通って帰った




綾ちゃんの匂いがした




キス、してんじゃねーよ…



オレの方が先に綾ちゃんを好きだった





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