偽りのキス

公園に着いて蒼汰が私を見た



涙で蒼汰が滲んで見えた




「乙…?」



「蒼汰…あの人のこと、好きなの…?」



蒼汰は何も言わなかった



嘘でも
好きじゃないって言ってほしかった…




涙が止まらなかった


「私、蒼汰のことが、好きだよ…

キスしてくれたのに…
抱きしめてくれたのに…

私、嬉しかったのに…

今日も楽しかったよ…

今日も好きだったよ…

なのに、なんで…?

なんで、今頃、手繋いだの?

ずっと、ずっと、待ってたのに…

いつも、重ねてたの?
私と、あの人のこと…」




「乙、ごめ…」



「触らないで…」



私に触れようとした蒼汰を
拒否した



ホントは触れてほしかった


抱きしめてほしかった




蒼汰
私はまだ
蒼汰が好き…







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