からふる。~第26話~
12月15日は俺の18回目の誕生日。


今日はその前日。


前祝いってことかな。


皆が企画してくれたみたいで、目の前には和菓子がずらりと並べられている。



「ほとんど緑川のお姉さんの嫁ぎ先の和菓子やの職人が丹精こめて作ったんだぜ!すごいだろ?」


「なんで大地が自慢するんだよ」


「すまんすまん。つい熱くなってしまった」


「ちなみにぃどら焼きはぁぼくらの手作りだよぉ。みおたんが喜んでくれますようにってお願いしながら作ったんだぁ」


「そうなんだ。ありがとう、みんな」



今年はわりと穏やかに暮らせている。


みんな仲良く協力して寮生活を送っているから俺もあまり心配することなく去ることが出来そうだ。


目の前にあったいちご大福を口に入れる。


ジューシーで甘酸っぱいいちごと白餡、赤ちゃんの肌のように柔らかくてすぐ溶ける皮が口の中で絶妙なハーモニーを奏でている。


これは美味しい...。


そして、皆が作ったというどら焼きも食べてみる。


ホットケーキミックスで作ったのか、なかなかしっかりとした甘さだけど、甘さ控えめでさっぱりしたあんこがしっとりもっちり生地と合って美味しい。



「どら焼き美味しいよ」


「あっりがとよ~」


「大地が作ったわけじゃないだろ」


「それはまあそうなんだが、材料は買いに行ったぜ。なあ、緑川」


「ですが、ほとんど作ったのは紗彩さんと神谷くんです。お礼を言うならお2人に」


「おいおいそんなこと言うなよ~」


「分かった。後で2人にお礼しにいくよ」


「そうだな。今おとりこみ中っぽいもんな」



紗彩ちゃんが来てからこの寮は色付いたなぁ。


両手に花の紫雄の心のど真ん中を射った子だ。


2人がこのまま上手くいくといいんだけど...。


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