からふる。~第26話~
緋彩との別れは突然だった。


緋彩のお父さんが交通事故で子供を庇って亡くなり、小学4年生のある日、転校の日を迎えた。


俺はその日の帰り道、自分から団子やに誘った。


幼なじみだからいつだって話せる、いつだって会える、そう思って何もしていなかった。


だけど、もうそんなことも言っていられない。


言いたいことは今言わなくちゃ。


俺は勇気を出して口を開いた。



「緋彩、あのさ、実は僕...」



言いかけたその時、緋彩がみたらし団子を俺の口に突っ込んだ。



「な、何するんだよ!」


「ふふふふっ。やっと食べた。ずっとこうして2人でみたらし団子食べてみたかったんだよね」


「だからってこれは酷いよ。最悪だ」


「むしろそれでいい。インパクトがあって頭にも心にも残るから」



こういう別れの惜しみかたをするんだって俺は感じていた。



「私は黒糖まんじゅうみたら澪を思い出すから、澪はみたらし団子を見たら私のことを思い出してね。絶対だよ」


「うん」


「いつかまたどっかで会った時は一緒に団子食べようね」



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