たとえばあなたのその目やその手とか~不釣り合すぎる恋の行方~
2.いざ出陣!
2.いざ出陣!

電車を乗り継ぎ向かった場所は、とんでもなく都心で高層ビルが立ち並んでいた。

いわゆるトップクラスの会社が立ち並ぶオフィス街のど真ん中。

ぐるりと私を囲む背の高いビルを見上げると、ビルの一角に反射した太陽の光が私の目に突き刺さりフラッと視界がゆがむ。

はぁ。

お門違いというのはこういうことを言うのかもしれない。

私にとって初めて担当することになる今回の記事の依頼が、うちのチームの存続が掛かっている大事な一戦になるなんて。

しかも、生粋のマスコミ嫌いのやっかいな社長への交渉ときた。

スマホで会社の位置を確認し、ゆっくりと歩みを進める。

しばらく大通り沿いを進んだ先に『トップ・オブ・ジャパニーズフード・コーポレーション』の入るビルのエントランスに突き当たった。

このどでかいキラキラしたビルの27階~最上階32階までを錦小路社長の率いる社員が埋め尽くしてるわけだ。

「ここかぁ……」

そのエントランスの扉の向こうに広いホールがあり、受付らしき場所が見えた。

まずは皆あの受付で門前払い食らうわけね。

その時、手にもっていたスマホが松下さんからの電話を着信した。

『あ、俺。もう例の会社に着いた?』

「はい、今目の前に立ってます。思ってたより迫力満点ですね」

『ああ。錦小路社長は元々大手食品会社【やまてフーズ】に入社してバリバリの営業やってたらしいんだけど、出る杭は打たれるってやつだろうな。上層部とぶつかった彼は数名の仲間を引き連れて会社を離れて今の会社を立ち上げ、たった八年でそこまで会社を大きくしたらしいぜ。早速俺の連れからの情報なんだけど、とりあえず知らせておこうと思って』

「たった八年でこんな立地のいい高層ビルの上層階を占めるまでに大きくしたんだ……」

エントランスにキラキラ光るプレートに書かれた社名を見つめながら呟く。
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