One but another One*

小さい頃の夢はなんだったかな…

みんながケーキ屋さん、お花屋さん、って云っていた頃、

私は「おいしいもの屋さん」と答えていた気がする。

ああ、あの頃からアバウトな夢だったのか。

あとは、七夕のときに「おひめさまになれますように」とか

「セーラーヴィーナスになれますように」と書いた。

なぜセーラームーンじゃなく敢えてのヴィーナスなのか。



もうちょっと成長した頃には、

「有名人になりたい」に変わっていた気がする。

タレントや歌手や女優や、

そういう夢に変わった。

私は小学生の頃からダンスは習っていたが、

ずば抜けて歌が上手いわけでもなく、

演技が上手いわけでもなく、

突き詰めて謂うなれば、私は人前に出るのが大の苦手だ。

でも、人から注目されたい思いで有名人を目指していた。

今になって思うのは、

それはきっと、不特定多数の人からチヤホヤされたい

それだけだった。

有名になって、大勢の人に自分を知られ、愛されたかった。必要とされていたかった。

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