俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
無防備な彼女と苦悩する彼――貴士side
無防備な彼女と苦悩する彼――貴士side
二週間ぶりに東京に戻った俺は、こちらでしかこなせない仕事をまとめてすませる。
社内での会議はウェブ会議で十分だけれど、取引先とのやりとりにまったく顔を出さないわけにはいかないからだ。
打ち合わせを兼ねた会食は、秘書の米沢が店を選びセッティングした。
味はもちろん食材や調理法、見た目や食器にまでとことんこだわった料理。
上品な雰囲気の店で、談笑しながら食事をする。
とても美味しいとは思うけれど、心のどこかで綾花のことを考える。
彼女とふたりで食べる温かで素朴な料理のほうが、ずっと美味しいと感じる自分がいた。
食事を終え取引相手と別れ車に乗る。
時計を見ると、二十一時を過ぎたあたりだった。
綾花は今頃あの古い家でひとり、どうしているんだろう。
俺がいなくてさみしがっていないだろうか。