俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 実家では和食ばかり出ていたけれど、小さなころから姉は洋食が好きだった。

 彼は、婚約者だった姉のために料理をするようになったんだろう。

 きゅっと唇を噛むと、私の表情に気付いた貴士さんが「どうした?」と聞いてくる。

「なんでもないです」

 かぶりを振って、食事を再開する。

 食べ終えた食器をキッチンに運ぶと、貴士さんが「今日もまた仕事をするのか?」と聞いてきた。

「はい」

 私がここまで必死になっているのは、依頼されたからにはいい作品を作りたいという思いがあるから。
 それに、納得のいく書作ができれば、少しは自分に自信が持てるんじゃないかと思ったからだ。

 自ら起業し成功を収めた有能な貴士さん。そして、世界を飛び回る自由な姉。

 それに比べて私の世界は本当に狭い。
 色んなものから逃げてばかりで、外へ目を向けようとしていなかった。

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