俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

「出かけるなら、車で送っていく」
「ありがとうございます。でも、天気がいいので歩きます。最近ずっと机に向かっていたので体を動かしたい気分なんです」

　私がそう言うと、貴士さんが「もしかして、仕事が無事終わったのか？」とたずねてきた。

「はい、ようやく。今まで私が仕事に集中できるように、気を遣ってくださってありがとうございました」
「がんばったな」

　明るい表情の私を見て、貴士さんはふっと口元をほころばせる。
　優しいねぎらいの言葉とともに、頭をなでてくれた。

　ちょっと乱暴に髪をかき混ぜる指先に、ドキドキしてしまう。

「これから納品に行ってきますね」
「じゃあ、やっぱり送っていく」
「大丈夫ですよ？」

　かたくなな彼に首をかしげると、「だって、あの男がいるだろ」と不機嫌な声で言う。
　その見事なまでの仏頂面に、思わず吹き出した。