俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

「農協に納品に行くので、役場に勤める中村さんとは会わないですよ」
「本当に？」
「本当です。貴士さんはしっかりお仕事しないと米沢さんに怒られちゃいますよ」

　そう言って彼の背を押すと、貴士さんはしぶしぶうなずいた。

　バッグを持ち玄関を出る。
　貴士さんが来た頃は満開だった八重桜はもうすっかり花びらを落とし、緑の葉ばかりになっていた。
　
　空に昇った太陽も、少し前まではうっすらと霞がかったような柔らかな春の日差しだったのに、今は初夏の訪れを予感させるように強く輝いている。

　私は青々とした新葉が茂る枝と、眩しい太陽を見上げてから、歩き出した。





　農協につき、担当の課長さんに書き上げた色紙を渡す。
　すると、その場にいた職員さんが集まってきて、一枚一枚確認しては歓声を上げた。