俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 顔をしかめうつむくと、頭上から「はぁ?」と間の抜けた声が聞こえてきた。

「なんの話だ」
「だから、貴士さんは元婚約者の姉を愛しているのに、政略結婚で父から命令されたから私に求婚したんですよね?」

 私の問いかけに、貴士さんが眉をよせた。

「違う。俺が好きなのは綾花だ。好きでもない相手と結婚しようとするわけがない」

 貴士さんが私を好き……?

 そう心の中でつぶやくと、頭に血が上って頬がぶわっと熱くなる。
 一瞬言葉につまってから、慌てて疑問を口にした。

「でも、米沢さんも言ってました。貴士さんは結婚を断られてものすごく落ち込んでいたって。姉に婚約破棄されて傷ついていたんじゃないんですか?」
「結婚を断ったのは、綾花だろ」
「私……?」
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