俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「ようやく綾花と結婚出来ると思って迎えに行ったら、『結婚は出来ません』と拒絶されたときの俺の気持ちがわかるか? ものすごくショックだったんだぞ」

 確かに『貴士さんとは結婚できない』と言ったけど……。

「でも貴士さんは余裕の表情で、一緒に住もうって言ってきたじゃないですか。ショックを受けているようには見えませんでした」

 一カ月前の再会を思い返してみても、桜の花びらが散る中で挑戦的に微笑む彼からは、動揺は感じ取れなかった。

「余裕なんて少しもなかった。どうしたら綾花に俺と結婚すると言ってもらえるだろうかと、必死に考えていた。あのまま大人しく帰るわけにはいかないと思って、とっさに同居しようと提案したんだ」

 あの意地悪な笑みの下では、そんなに必死になっていたの?
 信じられなくて目をまたたかせると、貴士さんはため息をついて小さく笑った。

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