俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「二年前からって、嘘をつかないでください。貴士さんは姉を愛していたじゃないですか」
「なんのことだ」
「二年前。実家の廊下を歩いていたら、姉の部屋から貴士さんの声がしたんです。貴士さんは姉に『俺は、本気で好きなんだ』って。『なにがあっても、結婚したいと思っている』って言っていたのを聞きました」

 二年前の失恋の痛みがよみがえり、顔をしかめながら言う。
 貴士さんは納得したように「あれを聞いていたのか」とつぶやいた。

「やっぱり、『好きなんだ』って言っていましたよね?」
「確かに言ったけど。それは、渚沙に向けて言った言葉じゃなかった」

 混乱して必死に考える。姉に向けてじゃなかったってことは……。

「その場にほかにも人がいたんですか?」
「そうじゃない」

 首をかしげると、貴士さんは苦笑して首をふる。
 そして眉にかかる髪をかきあげながら、まっすぐな視線をこちらに向けた。

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