俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「渚沙との婚約が発表された日の夜のことは、おぼえているか?」
「ええと、貴士さんと姉との婚約にショックを受けて、私は熱を出して寝込んで……」
「それで?」
「それだけです」

 熱にうなされた私は、貴士さんに『姉とじゃなく私と結婚してくれ』と言い寄る夢を見て、自分の身勝手さを思い知ったんだ。

「じゃあ、俺が綾花にプロポーズしたことは、まったく覚えていないんだな」
「えぇ?」

 意味が分からず、口から気の抜けた声がでた。

 プロポーズって、貴士さんが私に?

「親から渚沙と結婚しろと言われたけれど、俺は綾花が好きだった。だから渚沙とは結婚できないと葛西家に謝罪に行ったんだ。そうしたら、綾花が熱を出して寝込んでると聞いて、部屋に様子を見に行った」

 待って待って。
 あの夜、私が熱にうなされているところに貴士さんがやってきた。
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