俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　部屋にふたりきりだからか、それとも私の夢の中だからか、もともと端整な貴士さんの顔がさらに男っぽく色っぽく見える。

　できるならもう少し、貴士さんを見つめていたい。

『いやだ。行かないで』

　気付けば舌ったらずな口調でそんなわがままを言っていた。

　普段引っ込み思案な私は、家族にすらもこうやって甘えたりはしないのに、夢の中だとこんなにも素直になれるんだと自分でも驚いた。

『もう少し、そばにいてください』

　身勝手な私に、貴士さんは気を悪くする様子もなく『いいよ』と微笑んでベッドの端に腰を下ろす。

　さすが夢だ。
　私の望みが何でも叶っちゃうなんて、都合がよすぎる。

『他に、俺にしてほしいことはあるか？』

　貴士さんにしてほしいこと……。

　そう考えた私は、一番強い願いを口にしていた。

『お姉ちゃんと、結婚しないでください……』

　言いながら視界が涙で滲んでいく。