俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「今まで二年間、ずっとひとりで暮らしてきたんですから、さみしいわけがないです」

 この一ヶ月で貴士さんとの生活に慣れてしまった私は、ひとりの時間がさみしくてたまらない。
 本当は私も貴士さんについていきたい。
 だけど、私は祖父にこの家を守ると約束をしたんだ。

 貴士さんは少しあきれたように小さく笑い、そして私を抱く腕に力をこめた。
 一瞬息が止まるほど強く抱きしめ、腕をほどく。

「じゃあ、行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」

 彼の車を見送り、ひとりで家の中に戻った。
 しんと静まり返った廊下は、いつもよりも広く長く感じた。


 気を紛らわすように掃除をしていると、中村さんがたずねてきた。
 私が納品した書を見て、お礼を言いにきてくれたらしい。

「とても素敵な書をありがとうございました。役場の職員もデザイナーも、みんなよろこんでいました」
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