俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　だって彼が本当に想っているのは、私じゃなくて姉なんだから。

　そうわかっているのに、心臓は壊れそうなくらいドキドキと大きな音をたてていた。






　

　貴士さんと同居をはじめて今日で六日目。


　私がキッチンで朝食の準備をしていると、外から足音が聞こえてきた。

　貴士さんが戻ってきたんだ。

　包丁を持つ手を止め縁側の方に視線を向ける。
　ランニングを終えた貴士さんが庭に入ってくるのが見えた。

「おはよう、綾花」

　さわやかな微笑みに、心臓が跳ねる。

　貴士さんは、東京とは比べ物にならないほどのどかなこの町を、思いのほか楽しんでいるようだった。
　すぐにこの生活に飽きて退屈だと音を上げるだろうと思っていたのに、予想外だ。

　すっかりこの家での生活に慣れマイペースに暮らす彼とは反対に、いまだに彼の笑顔を見るたびにときめいてしまう私。