俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　小さな町だから、人の出入りはとても少い。

　よそから人が来るだけで話題になるのどかな田舎町に、こんな見栄えのいい男の人がやってきたら注目が集まってしまうのも無理はない。

　朝から畑仕事をしている近所の人たちは、ランニングをする貴士さんを警戒していたようだけど、彼はあっという間にみんなの心を掴んでしまった。

　一週間たった今では、すっかり町の人たちと親しくなった貴士さん。
　毎朝ランニングに行くと、近所の農家のおばちゃんたちからプレゼントされたお野菜を持って帰ってくるようになった。

　ここに住んで二年になるのに、近所の人たちと挨拶をかわす程度の顔見知りにしかなれない内向的な私とは正反対だ。

「みんなにすぐに好かれてしまうなんて。こういうの、人たらしっていうんだよね……」

　野菜を見下ろしながらひとりごとをつぶやくと、肩に重みを感じた。