俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 しばらく渚沙の部屋で勉強していると、飽きてきた渚沙が『お腹がすいたね』と言い出した。

『いいから集中しろよ』

 睨む俺を無視して渚沙は立ち上がる。

『でも、空腹だと集中もできなくない? 一階からなにかおかし持って来る』

 空腹なんて言い訳で、ただ休憩したいだけだろ。

 部屋にひとり残された俺は、テーブルに頬杖をついてため息をもらす。
 すると、わずかに開いた扉の向こうで人の気配がした。

 なんだろうと視線を向ける。
 廊下から綾花がこちらの様子をうかがっているのがわかった。
 目が合うと、綾花は人間に見つかった猫みたいに身をすくませる。

 こちらに興味津々なのに、気付かれると警戒する。
 ひねくれた反応に、思わずくすりと笑ってしまった。

『綾花も一緒に勉強する?』

 俺が問いかけると、綾花は顔を真っ赤にして首を横に振る。
< 75 / 297 >

この作品をシェア

pagetop