俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 けれど彼女の口から『結婚はできません』という拒絶の言葉を聞いた俺は、頭を殴られたようなショックを受けた。

 そのままおとなしく引き下がる気にはなれず、気付けば強引に同居をもちかけていた。
 一週間前の自分の必死さを思い出し苦笑する。




 自室での仕事が一段落して居間へ向かうと、綾花の声が聞こえてきた。

 誰かに話しかけているようだ。
 来客だろうか。そう思いながら居間に入る。

 そこには、床に両手を付き四つん這いになった綾花がいた。
 その姿を見た俺は、面食らい黙り込む。

「大丈夫だよ。こわくないよ」

 綾花は姿勢を低くしながらそう言っていた。

 いったいなにをしているんだろう。
 怪訝に思いながら綾花の視線の先を見ると、一匹の縞模様の猫がいた。

 どうやら綾花は縁側にいるその猫に話しかけているようだ。

< 80 / 297 >

この作品をシェア

pagetop