荒野を行くマーマン
1
「天童さん。例の彼、今日からだからね」
会社に出勤し、自分のデスクで端末の電源を入れていると、課長が私に近付きつつそう声を発した。
「あ、はい」
「事務作業自体は今までもやってたらしいから。基本的な事は分かってる筈だけど、部署によって業務内容は異なるからね。優しく面倒見てあげて」
「分かりました」
私が頷くのを確認した課長は満足げに微笑み、その場から去って行った。
本日付けで我が庶務課に異動してくる男性社員がいて、私が教育係として任命されているのだ。
私自身がまだ入社3年目でさほど実務経験がある訳ではないのだけれど、ルーティンワークならさすがに一人でも支障なくこなせるくらいには成長しているということ、また、今年24才になるらしい彼と一番年が近く、新天地での緊張も多少は和らぐだろうということで、そのように決まった。
それはさておき、ただいま暦は6月で、これから梅雨へと突入していく季節。
人事異動の時期ではない、こんな中後半端なタイミングで部署を変わる事になったのにはある理由があり…。
「おはよう!ミーティング始めるぞー」
なんて事を考えながら始業の準備を進めているうちに9時となり、総務部長がそう声を張り上げつつ、一人の男性社員を従えながら入室して来た。
会社に出勤し、自分のデスクで端末の電源を入れていると、課長が私に近付きつつそう声を発した。
「あ、はい」
「事務作業自体は今までもやってたらしいから。基本的な事は分かってる筈だけど、部署によって業務内容は異なるからね。優しく面倒見てあげて」
「分かりました」
私が頷くのを確認した課長は満足げに微笑み、その場から去って行った。
本日付けで我が庶務課に異動してくる男性社員がいて、私が教育係として任命されているのだ。
私自身がまだ入社3年目でさほど実務経験がある訳ではないのだけれど、ルーティンワークならさすがに一人でも支障なくこなせるくらいには成長しているということ、また、今年24才になるらしい彼と一番年が近く、新天地での緊張も多少は和らぐだろうということで、そのように決まった。
それはさておき、ただいま暦は6月で、これから梅雨へと突入していく季節。
人事異動の時期ではない、こんな中後半端なタイミングで部署を変わる事になったのにはある理由があり…。
「おはよう!ミーティング始めるぞー」
なんて事を考えながら始業の準備を進めているうちに9時となり、総務部長がそう声を張り上げつつ、一人の男性社員を従えながら入室して来た。