好き、ではない。
1章
愛、なんてない。
ヒューー
今日は風が強い。
吹き飛ばされそう。
明日は雨かな、湿気の匂いがする。
なのに、寒い。
「なんでこんな日に…」
駅から徒歩30分はかかる家に向かってる自分が
惨めに思う。
『今日って暇?』
そんな一言で行ってしまう超フッ軽女。
向かってるのは男の家。
セフレの家。
セフレって言っても、
まだ1回しか会ったことないけど。
一夜限りじゃないから
もうセフレでしょ。
別に恋愛感情あるわけでもないし
超やりたいわけでもない。
ただの暇つぶし。
大学の帰りだから。
そう、表向きには言ってるけど
正直、ちょっと会いたいなとは思ってた。
顔は塩顔で私のもろタイプだし、
体もいいし、
声もかっこいいし、
普通に優しいし。
初めて会ってから1週間は経ったかな?
連絡がきたことを密かに喜んでいた。
ま、あくまでお互いの欲求を満たす関係でしかないけど。
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