1年越しの花を貴方に
学校は憂鬱だ。
友達がいないわけではないし、勉強も特別苦手というわけではないが、ただ単に疲れるのだ。
しかし、学校からの帰り道、1人で音楽を聞きながら歩く時間はとても好きだった。
今日は雨が降っている。
傘をさしていつものように1人で帰っていたら、携帯が震えた。
雨音で電話の通知に気づかなかったらしい。急いで電話に出た。
「ごめんね急に電話して。今大丈夫?」
僚太から電話なんて珍しい、と思いながら3分ほど話した。
明日の放課後ご飯に行こう、という誘いの電話だった。
―――貴方は、急に電話をかけてきて謝ることなんてなかった。いつもお構い無しにかけてきたなぁ。
と、また貴方と僚太を比べている自分に気づいて、軽く頭を振った。