Last note〜バタフライ編
あげは「あ………。」

和泉「あなたは今、夢の中です。
目の前に階段があり、ゆっくりと下に降りていくと、ドアがあるわ。
その扉を開けると……
もうひとりのあなたがいるはず。
呼んできて?」

青山は、不思議な光景に生唾を飲みこむ。
そして少し身を構えて、様子を見守った。

"呼んできて…"呼んできて…"
"呼んできて…"

あげはの脳内で、リフレインする先生の声。

あげはは……ガクンっ!と、
また気を失った…。

和泉「かかったわ!…さぁ、姿を現しなさい。あなたはだぁれ…?」

あげはの俯く顔に、長い髪がかかって、顔が見えない……。

だが、しばらくすると、

青山が現場でのビジョンで視た、

低い男性のような声がしたのだ。

あげは『あと少しだったのに…。』

青山「っっ!?」(この声だ。)

和泉「こんにちは。私は精神鑑定専門の医師よ。あなたは誰?
なにが"あと少し"だったの?」

その問いかけに、あげはが目を開け、
顔にかかる髪をかきあげた…。

目付きは鋭く、まるで別人だった。

あげは『…すぐに自分を語るほど、貴女をまだ信用してないよ。』

そう言うと、青山の方を見た。

その視線は、和泉先生に向けられるものよりも少し、警戒心は薄いようだ。
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