蓮華草
泣きそうになった私の頭を軽く撫でて
"痛かったな"と柔らかな声をかける春。

「また何かあったら言って。その怪我じゃ不便な事もあるだろうし。
クラスメイトなんだから、頼ってくれたっていいんだからさ」

こんな優しい人だったのか。
人気者だから、という理由で関わりたくないと思っていた自分が恥ずかしい。

「ありがとうございます、宮本くん」

保健室を出た後、真昼に支えられながらも
顔を上げて改めて春に頭を下げる。

「春で良いよ、みんなそう呼んでるから。
ところで、名前を聞いてもいい?」
< 17 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop