蓮華草
感化

入学式

───────それは今日と同じ、
満開の桜の咲き誇る日の事だった。

舞い散る桜に、広がる赤。
頼まれていた食べ物の袋を片手に戻ってきた時、私が目にしたのは

大きな桜の木にぶつかって大破した白い車と
ブレーキの跡なのか、抉れた地面。
そして倒れている両親の姿だった。

「お母さん!お父さん!!」

駆けつけた救急団員が
父と母を乗せた担架を運びながら首を横に振る。
それが何を意味しているのか、
その時の私にはまだ分からなかった。
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