蓮華草
掴まれていない方の腕を振りかざして
思い切り頬を叩かれた。
私達の様子に廊下に居た生徒達ががざわつくが、春はその向こう側にいるからそれには気づかない。
良かった......
きっとこんな事したって彼にとっては迷惑なだけだから、気づかれない方が好都合だ。

ネイルで引っ掻かれた頬から何かが伝う。
血が出ているのだろう
傷口がじんじんと痛む。

「春は可哀想なんかじゃないです」

改めて彼女を見つめて告げると、
私の血を見て怖気付いたのか
女子生徒は舌打ちをして階段をかけ降りていった。
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