蓮華草
「春の事が可哀想だからって
名前と学年は分かんないけど、女子が春に駆け寄ろうとしてて、
それを美蓮が止めて、こんな事に......」

真昼の言葉に、春の顔が歪む。
痛ましそうに私の頬の傷を撫でて状態を確認すると、無言で腕を掴んで引っ張った。

「真昼と大輝はそこに居て」
「分かった」
「お、おう」

引いていかれたのは保健室だった。
だがそこに先生の姿はなく、
春は舌打ちをして、棚を漁り始める。
すぐに消毒液とガーゼを見つけたようで
私に向き直った。
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