蓮華草
「まさか、噂の事?
美蓮は気にしなくても良いんだよ、
言いたくなかったら、何も言わなくていいんだよ。無理には聞かないから」

春の優しい気遣いに首を横に振る。
彼が私達に打ち明けてくれたように
私も何か出来る事をしたかった。
たとえ思い出したくない事を思い出さなきゃいけないのだとしても。
3人に椅子に座るように促した。

「私の、お父さんとお母さんの事なんだけどね。事故で、死んじゃったの」

震える声を絞り出す。
小刻みに揺れる肩を、真昼がそっと支えてくれる。
< 43 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop