蓮華草
「怖かったね、痛かったね」

春は不思議な事を言う。
私はどこも怪我なんかしていないのに。
あの日も、今も
私だけが生き残ったのに。
生き残って、しまったのに。
そんな私に"大丈夫だよ"と優しい声をかける。

「は、春......?」
「よく分かるよ、美蓮の気持ち。
お願いだから、自分だけ残されただなんて思わないで。
俺に人の事言えないけどさ。
美蓮は悪くない。悪くないんだ」
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