蓮華草
春の不思議な言葉はじんわりと胸に響いて、
胸の中にあった蟠りを解いていく。
ぐちゃぐちゃになった私の心に、
その言葉達は優しく染み込んで、すとん、と落ちてくる。
広い青年の背中越しに大輝と真昼が頷いているのが見えた。
あぁ、私、もう独りじゃないんだ。
1度そう思い込むと、
心がすんなりと軽くなった。

「ありがとう。もう、大丈夫だよ。
大丈夫、大丈夫。
ありがとうね、春。大輝も、真昼も。
......お父さん、お母さん。
もう大丈夫だよ。
私、もう独りじゃないよ。」
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