蓮華草
青年の顔が心做しか赤く染まっていて
それを夕焼けに重ねて
綺麗だな、なんて思う。

「春の写真撮るところ見てみたい」
「えええ、つまんないと思うよ?」
「そんな事ないよ!」

興奮気味に瞳を輝かせる私に
押し切られるような形で"分かったよ"と青年は頷いたのだった。

「約束だからね?」
「うん。また、明日ね」

明日が楽しみだ。
大輝と真昼の視線には気付かないふりをして
子供のように指切りをして
それぞれの帰り道を歩いていった。
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