蓮華草
すっかり聞きなれた、少し低い声が耳に心地良い。
そうか、なんだ、私。春の事が好きなんだ。

「その写真、出来上がるの楽しみにしてる」

自覚しながらも言葉には出さないまま
"どういう意味?"聞きたい言葉を押さえ込んで
無理やりに笑顔を作った。
言っちゃダメだ。
この関係のまま、長く続けばいい。
この関係のまま、出来るだけ長く
彼の親友として傍に居られたら、そんなに嬉しい事は無い。
打ち明けてしまったら、この関係が壊れてしまいそうで怖くなった。
< 58 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop