蓮華草
屋上から校門に戻ったあと、
そう新しい約束を交わしてお互いに背を向ける。
家が反対方向なのが少し寂しかったが
"送って欲しい"なんてわがままを言える訳もなく、後ろを振り向く事はなく帰り道を1人、
とぼとぼと歩いていく。

気づいてしまったこの気持ち、
これから私はどうしていけば、皆の前で、どう振る舞えばいいんだろう。
どれだけ悩んでも答えが出てくる事はなかったし、この気持ちをずっと隠し通せる自信もなかった。

悩みながらも帰り道で数本の蓮華草を摘んでいって、自分の部屋で久方ぶりに押し花を作った。勿論、春にあげる為に。
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