蓮華草
思わず溢れそうになった感情を必死に押し留めた。

「美蓮!本当に居たんだな」

声の主は私のすぐ側に来ると
息を切らしながら膝に手を着く。

「春、なんでこんな所に」
「電話したけど出なかったから、
真昼に聞いたんだ。
そしたらいつもの散歩道にいるんじゃないかって聞いたから、ほら、こんな夜中だし
ついつい来ちゃったんだ」

最後の言葉を濁しながら
青年は息を整えて私のすぐ隣にしゃがみこむ。
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