蓮華草
「思って、ないよ。そんな事」
「嘘だ。だって、前までの俺と同じ表情をしてる。"このまま消えてしまいたい"って顔してる。そうだろ?」
「そんなの、春には分からないでしょ」

つい突き放すように強い口調でそう言ってしまい、両手で口を押さえたが
それすらも彼は笑い飛ばしてみせた。

「分かるよ。俺、美蓮の事よく見てるからな。それに俺達そっくりなんだ。
......過去の事も、考え方も。悩み方とかもな!」

"俺も前まではこうやってよく夜中に外に出てたもんだよ"と彼は意外な事実をこっそりと教えてくれる。
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