蓮華草
素直になって
それからの時間はあっという間で
もう6月に入った。
桜の花は疾うに散っていって
今は代わりに綺麗な緑が木々を覆っている。
あんなに田端を彩っていた蓮華草もすっかり見当たらなくなってしまったのが
少しだけ残念だったが、
あの時摘んで作った押し花を眺めては
あの日の彼の言葉を思い出す。
"俺達にピッタリだよな"
あれはどういう意味だったのだろう。
考えても考えても分からないでいた。
ついでにこれを春に渡す機会も見失ってしまって、きっと春はあの写真の事なんか忘れているだろうに、蓮華草の栞はいつまでも私の制服の内ポケットにしまわれたままになっている。
もう6月に入った。
桜の花は疾うに散っていって
今は代わりに綺麗な緑が木々を覆っている。
あんなに田端を彩っていた蓮華草もすっかり見当たらなくなってしまったのが
少しだけ残念だったが、
あの時摘んで作った押し花を眺めては
あの日の彼の言葉を思い出す。
"俺達にピッタリだよな"
あれはどういう意味だったのだろう。
考えても考えても分からないでいた。
ついでにこれを春に渡す機会も見失ってしまって、きっと春はあの写真の事なんか忘れているだろうに、蓮華草の栞はいつまでも私の制服の内ポケットにしまわれたままになっている。