蓮華草
なんで春の意志を考えてはくれないの。
どうして私達を引き離そうとするの。
今すぐにでも怒鳴り込みに行きたがったがそれも叶わない。

「......酷いね」

怒りに手を震わせていると
柔らかい感触に包まれた。春の手だ。
私の大好きな、優しくて温かい、彼の手だ。

「俺、皆と、美蓮と離れたくない。
だけど、転校先はここからだいぶ離れてて......
だから昨日ごめんって言ったんだ
離れ離れになるのは辛いだけだからって」
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